2008年 10月 5日
準決勝までの3試合は出足が悪く「スロースターター」だったウォズニアッキが、決勝では見事な先制攻撃を見せた。第1ゲームのカネピのサーブでは、相手ミスにつけこみ、最後は「技あり」のロブでブレーク。第3ゲームもデュースの末に、ネットに出てきたカネピをバックハンドで抜いて連続のブレーク。決勝の硬さの抜けないカネピのミスにつけこんで、37分であっさり第1セットを先取した。
カネピのファーストサーブが入り、ストロークも深く決まり出した第2セットは、逆に2度のブレークを許して落としたが、第3セットでしっかり流れを引き戻すのが、第1シードたる所以。「相手に高い打点で打たれる球は出さず、ストロークをもっと速いタイミングで打つ」とギアを一段上げたプレーを展開。相手強打は粘り強く返球し、甘い球が返ってきたら鋭いショットでエースを奪う。第2、第4ゲームの相手サーブを、ともにデュースの末に破って5ゲームを連取し、勝負を決めた。
「彼女は全てのボールを返してくる選手。攻撃的なプレーを心がけたが、ミスをしてはいけない」。第2セットで一度はリズムをつかんだカネピは、勝負所で出た自らのミスを悔やんだ。前々週の東レ・パンパシフィックでは予選から出場して準々決勝、前週の韓国では準決勝進出と、好調を持続していた。「何度もチャンスはあったが、攻めを急ぎすぎた。もう少し辛抱強くプレーすれば良かった。決勝のプレッシャーもあったと思う」。2度目の決勝でもタイトルをつかめなかった23歳は、記者会見で淡々と振り返った。
ジュニア時代にはワールドスーパージュニア(大阪)とジャパンオープンジュニア(名古屋)に優勝し、日本の大会と相性の良いウォズニアッキ。「ジュニアで初めて大きな大会に優勝したのが大阪だった。その土地が好きだと、結果もついてくるみたい」。好調な今季、大会で初戦負けがなかったのに、前々週、前週と続けて1回戦敗退。それが、有明に戻って来ると今季3勝目を挙げただけに、世界ランク16位の18歳からは笑顔が絶えなかった。
谷祐一