2008年 10月 4日
中村の「噛み合わない感じ」という言葉が、この試合の内容をよく言い表している。準決勝まではスピードのあるパスと、巧みにコントロールされた突き球で相手ペアを崩した森田と中村だが、この日はそれが通用しない。相手に隙がなかったわけではない。エラコビッチもクレーバスも中盤まではプレーが不安定で、ボレーのイージーミスも目立った。森田の思い切りのいい突き球も効いていた。だが、そこでリズムに乗れないのが「噛み合わない」ということなのだろう。
それでも第1セットは6−4で先取する。第2セットも競り合いになった。しかし、5−6からのサービスを森田がキープできず、5−7。決着はマッチタイブレーク(第3セットに代わる10ポイント先取のタイブレーク)に持ち込まれた。ここでも一進一退。しかし、森田、中村に効果的な突き球は少なく、リズムに乗れない。相手のマッチポイントを2本しのいで6−9としたのが最後の抵抗だった。最後はエラコビッチにボレーを決められ、森田、中村組の初優勝の夢は破れた。
「負けた悔しさより、1回戦からやってきた自分たちのプレーができなかったことが悔しい」と振り返る森田。「自分たちのやりたいプレーができなかった。なんとか修正しようと話し合ったが、不完全燃焼の試合になってしまった」と中村。ともに、淡々とした口調に悔しさがにじんだ。
日本テニス協会広報委員会委員・フリーライター 秋山英宏