2008年 10月 3日
前年覇者で第1シードのフェレールと、第5シードの新鋭デルポトロ。この準々決勝は注目の一戦だった。しかし、立ち上がりからフェレールの調子が上がらない。第1ゲームは40−0から挽回を許し、サービスダウン。その後もミスが目立ち、リズムに乗れない。このセットは全46ポイントのうち、わずか17ポイントしかものにできなかった。
だが、第2セットは別の試合を見るようだった。第2ゲーム、6度のデュースの末にサーブをキープするとフェレールが生き返った。足を使い、攻撃的なショットを連発する。守勢に回ることが多くなったデルポトロだが、簡単にはポイントを失わない。堅実なグラウンドストロークでフェレールの攻めをしのぐと、目の覚めるようなカウンターパンチを見舞う。198センチの長身を生かして高い打点から放つフォアハンド、ここというときのビッグサーブ、とスケールの大きなテニスを披露する。第1セットとはうって変わって、デュースにもつれるゲームが増えた。第8ゲームでデルポトロがブレークすると、フェレールもすぐにブレークバックするスリリングな展開。しかし、5−6で迎えたサービスゲームでフェレールはとうとう力尽きた。
第1シードの準々決勝敗退。しかし、今季の両選手の勢いを見れば、これは意外な結果ではない。7月にシュツットガルト(ドイツ)でツアー初優勝を飾ったデルポトロは、ここから出場4大会連続優勝を果たす。9月23日に20歳の誕生日を迎えた若者は、今や次代のナンバーワン候補だ。「僕も最近では一番のプレーができたが、今日は彼がとてもよかった。自信を持ってプレーしているように見えるね」と、フェレールも相手を称えるしかなかった。「メンタル面をはじめ、いろいろな面で向上している」と急成長の原因を分析するデルポトロ。全米オープンで錦織圭を破った男として日本のファンに名前を売ったデルポトロが、今大会の優勝争いでも主役に躍り出た。