2008年 10月 2日
06年大会で当時の世界ナンバー1、ロジャー・フェデラー(スイス)を相手にフルセットの死闘を演じ、観客を熱狂させたミスターAIGオープン。今回、挑んだ相手も第1シードのダビド・フェレール(スペイン)。声援をバックに鈴木が素晴らしいパフォーマンスを披露。一進一退の好ゲームになった。
第1セットは鈴木の武器、ボレーが冴えて1ブレークアップの6−4で先取。第2セットはフェレールが6−3で取り返し、勝負はファイナルセットに突入する。ところが第3セットに入ったあたりから鈴木の右足のマメが悪化。思うように地面を蹴れなくなった影響で、サーブの威力が半減してしまう。こうなると最後はフェレールが実力の差を見せ、2ブレークアップの6−2で熱戦に終止符を打った。
「鈴木は素晴らしい選手だった。第1セットはボレーに苦しめられたが、第2セットからは自信を持ってプレーすることができた」とフェレール。2回戦に続き3回戦もファイナルセットにもつれ込む辛勝となったが、「自信を持ってプレーすれば何も恐れることはない」と精神的な強さをアピールした。
一方、今シーズン、デビスカップ・フィリピン戦での勝利を除いてはシングルス未勝利だった鈴木。「最近まで自分の中のイメージと実際のプレーがかみ合わずに苦労したが、焦ることなく、一つ一つできることをこなしていこうと思っていた。また、AIGオープンが来れば何とかなるだろうと思っていた。そんな状況で実際に2勝できたことには満足しているし、ATPポイントが取れたという点からもホッとしている」と自分自身に及第点を与えた。
日本テニス協会広報委員会委員・フリーライター 成瀬 悦朗