2008年 9月29日
ATPランキング134位のデリックに対して、添田は130位。ともに速いサーブを武器とする似たもの同士の戦い。「ホームなので観客の声援が力になる。積極的にプレーしてリードしていけば乗っていけるし、相手は守りがうまくないので主導権を早くつかむことだけを考えていた」。試合前の狙いどおり、添田は第1セット第2ゲーム、15−40とブレークのチャンスをつかむ。ところが、ここ一番でビッグサーブを駆使するデリックの前に、あと1ポイントが奪えない。
「このゲームを取っていれば、もっと違う展開になっていたと思う」と試合後の添田が悔やんだとおり、この場面でブレークできなかったことが試合の行方を左右してしまった。続く第3ゲームをブレークして試合の流れを引き寄せたデリック。第1セットは6−4でデリックが先取した。
第2セット、なんとか挽回したい添田は第1セット同様、第2ゲームでブレークポイントをつかむものの、ここでもあと1ポイントが奪えない。逆に第5ゲーム、5度のデュースの末にサーブを落としてリズムを失い、ずるずる後退。第7ゲームもブレークを許した添田は、このセットを2−6で失いストレートで初戦敗退。
「結果論だが、もっとサーブ&ボレーやスライスを多用していればよかったと思う。プレーが単調になったことで相手に主導権を奪われ、気持ちよくプレーさせてしまったのが敗因」と添田。しかし、悔しい敗戦の中にも自分なりの収穫はあったようで、「前のトーナメントではバックハンドの精度がよくなかったので、今回はその精度にテーマを置いてプレーした。速いコートなので思うようなプレーはできなかったが、その中で何本かイメージ通りにバックハンドのクロスを打てたことには満足している」と語った。
日本テニス協会広報委員会委員・フリーライター 成瀬悦朗