2007年10月 7日
両者の唯一の対戦は3年前。当時のランキングはフェレールが47位、ガスケは130位。時が経ち、今大会の決勝の舞台に立ったのは8位のフェレールと13位のガスケ。両選手とも、世界のトッププレーヤーとなっていた。
「集中して、アグレッシブにプレーすることを心がけた」というフェレールは、第1セット第1ゲームから飛ばしていった。相手のサービスが不調と見切り、リターンゲームでも果敢にアタック。最大の武器である速いリターンを次々にガスケのコートに突き刺していく。
あっという間にスコアは4−0。なんとか第5ゲームをキープしたガスケだが、勢いに乗るフェレールは第7ゲームもブレーク。わずか21分で第1セットを先取した。一方的な展開に、とまどいの声が漏れる有明コロシアム。ガスケの天才的なショットを期待していた観客から「カモン!リシャール」の声が飛ぶ。
第2セットに入っても、ガスケは本来の姿を取り戻せない。先週、インド・ムンバイの大会で優勝を飾ったガスケにとって、この試合は14日間で10試合目。連戦からくる疲労がショットのキレを奪っていく。第2ゲームでサービスダウンすると、その後もフェレールのハードヒットの前に、なすすべなし。昨日の女子シングルス決勝とはうってかわって52分の短い試合となった。
試合後、「疲れていたことは確か。ベストのプレーができないとフェレールには勝てない。その点で、今日はフィジカル面で戦う準備が出来ていなかった」と語ったガスケ。一方、初優勝を飾ったフェレールは「今日はとても安定したプレーができた。リシャールが疲れていたこともあって多少ラッキーな面もあったが、勝てたことはうれしい」と、やや控えめに喜びを表した。
この優勝で今季3勝目。クレーを得意とするフェレールだが、ハードコートでは1月のオークランド(ニュージーランド)に続き2勝目。好調の秘訣はコーチの存在、とフェレールは明かす。「コーチのハビエル・ピレスは僕が16、17歳のときから一緒にいる。彼はテニスだけではなく人生のいろいろなことを教えてくれた。僕にとっては第二の父親のような存在だよ」。
なお、本大会でスペインの選手が優勝したのは77年のマヌエル・オランテス以来、20年ぶり。総ゲーム数15、すなわち相手に計3ゲームしか与えない快勝は、奇しくもオランテスの優勝時と同じで、大会の男子シングルス最小ゲーム数決勝のタイ記録となった。
広報委員・フリーライター 成瀬 悦朗