2007年10月 6日
静かな立ち上がりとなった第1セット。4−4までサービスキープが続く。試合が動いたのは第9ゲーム。1ブレークがそのままセット先取につながる終盤の戦いで、ビーナスは相手サーブを攻撃的にリターン。ブレークに成功すると、次のゲームも難なくキープして6−4で先取する。
「ビーナスのような強い選手と戦うときには、積極的に仕掛けて常に先手を取ること、主導権を握ることが大切」。試合前、ビーナス対策をこのように考えていたというラザノが、第2セットは4−1とリードを奪う。しかし勝負強さでラザノを凌駕するビーナスは、第9ゲームでブレークバックに成功すると、第11ゲームもラブゲームでブレーク。サービング・フォー・マッチを迎えると、誰もがビーナスの優勝を確信した。
ところが、この窮地からラザノが反撃に出る。起死回生のブレークバックで6−6に追いつき、タイブレークに突入した。タイブレークでは、ラザノの3−1からビーナスが5ポイントを連取。6−3として3つのマッチポイントを握る。絶体絶命のラザノ。しかし、ここでもラザノは信じられないドラマを演出する。
「自分のやれることを精一杯やってベストを尽くした。シンプルに、より攻撃的にプレーするよう心掛けた」。試合後、本人が振り返ったように、ラザノは驚異的な粘りを発揮。ミニブレーク2つを含む4ポイントを連取する。結局、この白熱したタイブレークを9−7で制したラザノが第2セットを取り、試合はファイナルセットへ。予想を覆すドラマチックな展開に、観衆からはどよめきが起こった。
雌雄を決する第3セット。「実は第1セットから右太もも内転筋に違和感があった。第3セットに入って脚が上げられなくなった」と試合後に打ち明けたビーナス。一刻も早く勝負を片付けようと、1球目から強打を開始、力づくでラザノを倒しにかかった。しかし、ハンデを背負ったビーナスは試合を決めきれない。ブレーク合戦となったが、最後はラザノにサーブをキープされ、6−4でゲームセット。2時間48分に及んだ熱戦は、ラザノの大逆転勝利という形で幕を閉じた。
中国広州での優勝に続く2週連続優勝に「練習の成果が出た」と喜びを語ったラザノ。「今年は好不調の波が激しかったが、どんな状態にあってもメンタル面を安定させ、フィジカルを強化して一生懸命練習に務めたことが良かったと思う。優勝の喜びは、コーチでもあるボーイフレンドと分かち合いたい」と笑顔を見せた。日々の努力と、決して諦めない姿勢が最後は勝利の女神を呼び込んだ。
広報委員・フリーライター 成瀬 悦朗